■BARLEY(大麦)
古代エジプトにおいて、パンやビールづくりに使用されていたとされる大麦。ローマの剣闘士も大麦を食べていたという記録が残っている。
ヒトツブ小麦やエンマー小麦並び古い歴史をもつ古代小麦のひとつであり、他の麦(特に小麦)と比べて、冷涼な地域でよく育つ。
食物繊維が豊富で、グルテンが少なく、ビタミンB・ミネラル・タンパク質が豊富。
■BUCKWHAT(ソバ)
食物繊維を豊富に含み、低GIかつプレバイオティクスによる効果を期待できる。プレバイオティクスの働きにより、肥満や整腸作用の改善効果があると言われている。
※プレバイオティクスは、①消化管上部で分解・吸収されない、②大腸に共生する有益な細菌選択的栄養源となり、それらの増殖を促進する、③大腸の腸内フローラの構成を健康的なバランスに改善する、④人の健康の増進維持に役立つ、といった条件を満たす食品成分のことを指す。
■DRUM(デュラム小麦)
唯一4つの染色体をもつデュラム小麦。その需要が高さから、生産量が多い穀物の1つである。タンパク質を多く含むが、グルテンの繋がりが弱いため、小麦を混ぜて補強する必要がある。
新種のデュラム小麦よりも伝統的なデュラム小麦の方が抗酸化作用が高く、味わいも良い。
研究結果により、4つの染色体をもつ穀物は他の穀物を比べてコレステロールが低いことが判明しているため、心臓の病気を気にする方には良いと言われている。
■EINKORN(ヒトツブ小麦)
古代からの長い歴史をもつ穀物のひとつで、ナッツの風味と甘みを含む豊かな味わいが特徴。
グルテンのレベルは低い一方、タンパク質・鉄分・食物繊維・ビタミンBが豊富で、(デュラム小麦や他の穀物よりも)強力な抗酸化作用があるとされる。
また、消化の妨げとなるフィチン酸を多く含むので、消化をしやすくし、IBSの症状を避けるためにより多くの発酵時間を要する。
■EMMER(エンマー小麦)
2000年以上の長い歴史をもつイタリアの小麦。
長い時間をかけて栽培される中で、もみ殻には豊富な食物繊維とビタミンB3・亜鉛・鉄分などの栄養がたっぷり含まれる。
■FREEKEH(フリーカ)
緑色の若いデュラム小麦から作られる穀物。ローストによって生まれるナッツのような風味が特徴。
食物繊維とタンパク質が多いのが特徴で、食物繊維は玄米の2倍、タンパク質はキヌアの3倍と言われている。低GI食品に分類される。
■KHORASAN(ホラーサン)
中東を起源とする古代の穀物。
黄金色でカロテンやセレンを多く含み、バターのように滑らかで深い風味が特徴。
グルコースやインスリンを下げる働きがあるため、第二型糖尿病に良いと言われている。
■OATS(オーツ麦)
β-グルカンと水溶性食物繊維を多く含むオーツ麦は、コレステロール値を下げる効果がある。また、β-グルカンには血糖値を安定化させる作用がある。
6年かけて実施されたとある研究によると、日々の食事にオーツ麦を取り入れることで、6万5000人以上の人が第2型糖尿病の進行を防ぐことができたという結果が報告されている。
また、ノルウェーで行われた実験では、10名の女性が毎日60gのポリッジ(オーツ麦をお湯やミルクでふやかしたもの)を摂取したところ、一週間も経たないうちに腸内環境が改善された。
ポリッジをパン生地に加えることで食感が豊かになり、さらに、上記の理由から健康増進効果も期待できる。
■RIVET WHEAT(リベット小麦)
Triticum turgidumという希少な小麦から挽かれてできるリベット小麦は、ノルマン朝時代のイングランドで作られたのが始まり。
生産性の高さとナッツのような風味の美味しさから人気が広まった。
リベット小麦は、他の小麦と比べてタンパク質が少ないため、全粒粉の代替としてグルテン不耐症患者の食事に使われることもある。
■RYE(ライ麦)
甘みや少しクセのある穀物感が入り混じる深い味わいが特徴。小麦や大麦の穀倉地帯で雑草として育ったのが起源とされる。
ライ麦は、他の小麦粉と比べて伸縮性が弱く、必然的に発酵時に含まれるガスの量が少なくなるので、ライ麦で作られたサワードウは他よりも密度がありコンパクトになる。
ライ麦は、ふすまと胚芽を分けるのが難しいため、食物繊維やファイトニュートリエントといった栄養が相対的に多くなる。
■SPELT(スペルト小麦)
スペルト小麦は、小麦・大麦・ライ麦と同じ種類に分類される古代種。
グルテンが少なく水溶性食物繊維を多く含むため、より消化に優しい。スペルト小麦は、鉄分・カリウム・亜鉛といったミネラルを含み、ビタミンK(血を固めたりカルシウムの吸収を促す作用をもつ)は小麦の2倍となっている。
■WHEAT(小麦)
精白された白小麦ではなく胚芽やふすまを含む全粒粉を使用することで、食物繊維・ポリフェノール・ビタミン・ミネラルを摂取することができる。
サワードウ独特の形成過程における長時間発酵によって、栄養素の生態利用率が上がり、イーストを利用したパンと比べて栄養価が高くなる。
<参考図書>
「THE SOURDOGH SCHOOL」 Vanessa Kimbell著