スイートルヴァン種(酸味を抑えたい時・リッチなパン生地に)

ルヴァン種を使ったパンは酸味があるというイメージがありますが、酸味をなるべく抑えたい場合ブリオッシュやパネトーネといったリッチなパンを作りたい時、私はルヴァン種に砂糖をいれたスイートルヴァン種を使っています。

◆スイートルヴァン種の効果

①パンの酸味を抑える
これはそのままなのでわかりやすいですが、種に砂糖を加えることで種自体の味が甘くなり、結果的に生地の仕上がりの酸味レベルが低下します。

②リッチなパン生地の発酵を促し、天然酵母でもしっかり膨らむパンを作れる
リッチなパンの生地に含まれる砂糖やオイルや卵などはイースト菌の発酵を妨げる作用がありますが、通常の砂糖を含まないルヴァン種と比べてイースト菌がより活発であるスイートルヴァン種を使うことで、リッチな生地でも発酵を促進し、結果的にグルテンのしっかりした膨らむパンに仕上がります。

◆スイートルヴァン種における砂糖の作用

砂糖は吸湿性があり、浸透圧によってイースト菌の細胞から水分を奪うため、砂糖を加える初めは発酵の速度が遅くなりますが、その一方でイースト菌の繁殖が加速します。
砂糖を加えて種継をし、これを何度か繰り返していくことで、より浸透圧に強いイースト菌の繁殖が進むので、時間をかけながら種が高い糖度に対応できるようになります。これによって、副材料を多く含む生地でもしっかり発酵し、また、たんぱく質をえさとする乳酸菌の割合が減ることでグルテン構造も維持されるので、結果的によく膨らみ軽やかな食感のパンに仕上がります。

◆スイートルヴァン種の作り方

生地に種を加える前に、以下の手順でリフレッシュを少なくとも2回行います。

①ルヴァン種:水:強力粉:砂糖=1:2:3(または2):1 の割合でリフレッシュする。

(例)
・ルヴァン種 15g
・水 30g
・強力粉 45g
・砂糖 15g

※砂糖は、上白糖やブラウンシュガーなど、種類は問いません。
※多少割合がずれても問題ありません。
※種の固さ(水分量)はお好みで調整可能ですが、粉の割合が多めの固めの種の方が酸素が多くなるためイースト菌が増殖し、甘味も増します。


②種が20~26℃を維持できるように暖かい場所でピークに達するまで発酵させる。

スイートルヴァン種で作ってみたブリオッシュナンテール↓

スイートルヴァン種を使うことでルヴァン種の活用の幅が広がるので、ご興味のある方は是非お試しください。

11 thoughts on “スイートルヴァン種(酸味を抑えたい時・リッチなパン生地に)

  1. 気になって色々調べていたスイートルヴァンがここに!わかりやすくて丁寧な記事に感謝感謝です。ありがとうございます•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎

    1. sachikoさん、こちらの記事も見ていただいてありがとうございます♡
      スイートルヴァンがあるとバリエーションが広がりますよね^^
      私もこれを使って色んなレシピに挑戦していきたいと思っています!

  2. はじめまして、Instagramからお邪魔しています
    酸味のない甘い元種のレシピに広がるバリエーションを想像し
    ワクワクしています。楽しい時間が持てそうで感謝しています
    ブリウォッシュナンテールのレシピも心待ちにしています

    1. ハナさんこんにちは!
      コメントありがとうございます。
      最近ブログの更新が滞ってしまっていますが、ブリオッシュナンテールのレシピはリクエストが多いので近々アップしたいと思います!
      引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

  3. こんにちは。スイート種で2度ほどパンを焼いてみました。ブリオッシュと豆乳パンです。かなりの酸味が出てしまったのですが、これは元々、多少なりとも酸味があるパンなのでしょうか?それとも、普通に甘いパンですか?酸味が出てしまった考えられる原因は何だと思われますか?夏のかなり暑い日(32度超)にエアコンなしの室温で発酵させました。発酵温度が高過ぎたのでしょうか?考えられる原因を教えていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

    1. Chiarettaさんこんにちは!
      せっかく私のレシピを参考に作って下さったのに、酸味が強くなってしまったのですね。
      ブリオッシュも豆乳パンも、ルヴァン種を使わないパンよりは確かに多少酸味が感じられるかもしれませんが、私が作るものは気になるほどではなく普通に甘いパンです。
      酸味が強くでてしまった原因は、Chiarettaさんの仰る通り、発酵温度が第一の原因として考えられます。
      30℃を超えると乳酸菌が活発に活動をはじめ、酸味が強くでてしまうので、発酵温度は高くても26℃程度に抑えることをおすすめします。
      また、元種自体に酸味があるとそれもパンの酸味の原因になってしまうので、種をリフレッシュした際も温度が高くなり過ぎないように調整してみて下さい。(状態のよい元種は種自体の風味がよく、そのまま食べると少し酸味のあるヨーグルトのような味がします。スイートルヴァン種はさらに甘いです。)

      1. 早速のご返事ありがとうございました。こちらもようやく暑かった夏が終わり、朝晩はかなり涼しくなってきましたので、暑すぎない環境で発酵させることができそうです。また試してみます!!

  4. こんにちは。サワードウ初心者です。すてきなレシピをいろいろためしています。
    スイートルヴァンに挑戦中ですが、リフレッシュするときに出る余りだねは、サワードウの余りだねと同じように(どの余りだねレシピにも)使えますか? 砂糖が入る分、なにか制限があったり、気をつける点があれば教えていただけますか?

    1. norimakiさんこんにちは!
      ブログを見てレシピに挑戦してくださってありがとうございます。
      スイートルヴァンも同じように余り種レシピに使えますが、スイートルヴァンは水分が少なく硬めであることと、多少甘みがあるので、ルヴァンの甘さを確認しながら、レシピの水分と甘味の量を調整する必要があるかもしれません。

      1. ありがとうございます! たしかに、通常のものより硬いルヴァンになりますね。レシピ通りにうまくいくと、余るスートルヴァンはごく少量なので、通常のルヴァンの余りだねに混ぜてしまっています^^; いまのところ、通常のルヴァンよりもスイートルヴァンのほうが成功率が高く、ブリオッシュも豆乳とはちみつの食パンもうまく焼けました! なかなかサワードウブレッドが思うように焼けませんが、いろいろな条件を見直してみます。

        1. 通常のルヴァンの余り種に混ぜても全く問題ないですよ!私もいつもそうしています。
          ブリオッシュと豆乳はちみつ食パン、上手く焼けたとのことで嬉しいです!
          ハード系の方も思い描いたものが焼けると良いですね。
          私の方も有益な情報をお届けできるように引き続き精進したいと思います。

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